幻聴が聞こえたら

幻聴症状と自己治癒力 ~『癒す心、治る力』を読んで~

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2007年1月16日
2009年2月11日 修正




はじめに

 今回は、アンドルー・ワイル[著]『癒す心、治る力』(角川書店)の内容に沿って進めます。同書の著者であるアンドルー・ワイル氏は、医学博士であり、代替医療・変性意識・治癒論の第一人者なのだそうです。著者はハーバード大学の医学部を卒業していますが、研修医であった期間の前後に“彷徨の旅の期間”を経験しています。それは、権威のある大学で、植物学と医学を八年間学んでも、現代医学に対して感じる疑問を払拭できなかったことが原因だったのであり、徐々に、身体に対して侵襲的な現代医学よりも、からだに優しい自然治癒の方に魅かれていったのでした。それでは、“自然治癒”とは、どの様なものなのでしょうか。

ヒュギエイア派とアスクレピオス派


 ギリシア時代、医師は、医術の神であるアスクレピオスの庇護の下で仕事をしていたのであり、その娘である健康神ヒュギエイアには、ヒーラーたちが仕えていたのだそうです。アスクレピオス派とは、医師の役割を病気の治療とみなし、偶然が引き起こす欠陥を正すことにより健康が回復する事を信じる人々のことです。一方、ヒュギエイア派とは、健康とは、自然な秩序であるとみなし、“健全な身体に宿る健全な精神”を保証してくれる自然の法則を発見し、それを人々に教えることが医師の役割であると信じる人々の事です。著者は、アスクレピオス派は治療(トリートメント)に、ヒュギエイア派は治癒(ヒーリング)に、関心を持つと主張します。

 西洋における、科学的な医学、つまり、現代医学の源流はアスクレピオス派にあるのであり、そのテーマは、“病気の外的因子の正体を解明し、それを叩く武器を開発する”ことなのだそうです。その成果は、抗生物質をの発見という形で現れ、感染症との戦いに勝利を収めることにより、アスクレピオス派は人々の信頼を得ました。ところが、現代においては、徐々に状況が変わってきているのだそうです。一旦は感染症の原因となる細菌を抗生物質で撃退しても、一定の期間を経ると、更に抵抗力の強い細菌が出現し、半永久的な鼬(いたち)ごっこになることがわかって来ているのであり、その様な状況に陥っている事について、感染症専門医たちは危機感を募らせ、抗生物質に頼らない解決策を考えはじめているといいます。

 一方、中国医学に代表されるヒュギエイア派の思想には、“病気の外的因子を叩く”という抑圧・暴力的な考え方はなく、健康とは“エネルギーが無理なく循環してバランスの取れた自然な状態”であると定義しています。身体に、元々備わっている自然治癒力の発現を促進することにより、健康が回復する事を目指しているわけです。著者は、探し求めていた医学を、ボブ・フルフォードという医師との出会いにより得ることができたと言います。フルフォード博士は、ヒポクラテスの二大訓戒である“まず、傷つけることなかれ”と“自然治癒力を崇めよ”を、良心的に守りぬいた治療家だったのだそうです。


 私が愛読し、強い影響を受け続けている本の中の一冊に、近藤千雄・訳編『古代霊は語る』があります。シルバーバーチ霊は、その本の中で、真の健康とは“精神と肉体と霊とが三位一体となって調和よく働いている状態”であると語られているのですが、ワイル博士は、“健康とは完全にバランスのとれた状態のことである”と、そして、ヒュギエイア派は、健康を“エネルギーが無理なく循環してバランスの取れた自然な状態”と、それぞれ、定義しています。三者の“健康の定義”は、本質的には同じ状態を指していることがわかります。そして、この定義から、逆説的には、“病気とは、肉体・精神・霊性のバランスが崩れた状態”である、ということがわかります。

現代医学にできること、できないこと

 病気になった際に、現代医学に頼るのか、それ以外の、例えば代替医療に頼るかは、判断の難しいところなのではないでしょうか。健康を回復するために、どう行動するのか。著者は、それを決めるのは、自分自身の責任なのであり、そうしなければ自分以外の誰かが決めることになるが、それが最良の選択になるとは限らない、と言います。私自身も、自らの健康に関することは、将来に影響を及ぼす大切な事柄なのであり、どの様な解決方法を選択するか、その事については、最終的には自分で決めなくてはならないことだと認識しています。そして、その様な局面においては、必要な知識を有しているか否かが、とても重要な要素となってくるのではないでしょうか。著者は、現代医学の得手不得手について、病気別に分類しています。

現代医学にできないこと
□ウイルス性感染の治療
□ほとんどの慢性病・消耗性疾患の治療
□大部分の精神疾患の効果的な対処
□大半のアレルギー疾患・自己免疫疾患の治療
□心身相関疾患の効果的な対処
□がんの多くのタイプの治療

 つぎのルールを知っておいてほしい。現代医学に治せない病気を現代医学の医師に診せるべからす。現代医学が得意とする病気で代替療法の治療家をたよるべからず。(『癒す心、治る力』350頁より)


 当サイトの主要テーマは“幻聴”ですが、これは、著者の分類における“大部分の精神疾患”と“心身相関疾患”に該当するのであり、どちらも、現代医学が不得手としている病気であることがわかります。それでは、幻聴症状に悩まされている人々は、どうすればよいのでしょうか。

 ここが、非常に難しい局面である様に感じられます。かつての私には、幻聴に苦しんでいた当時は、症状ついての知識が全くありませんでしたので、新興宗教団体や怪しげな祈祷師に助けを求める様な、いわば彷徨していた時期がありました。その様な知識が欠落していたばかりに、解決の糸口を見いだす事ができずに、危険な状態に陥っていたわけです。その当時、精神科も受診しましたが、CTを撮られ、精神安定剤を出されただけでした現在の私には、現代医学の不得意分野で現代医学に頼るという方向性に誤りがあったのだと、その様な認識があります。

 私の場合の治癒のプロセスについてふれますと、霊的な治療を受けながら、霊界通信という分野の本を読み、霊的な事柄や、自然の法則についての理解を深め続けて来たという経緯があります。それを続け、霊的な窓が広がるにつれて、段々と、心身が良好な状態に移行していったのでした。その当時に読みはじめ、現在においても繰り返し読んでいる本の中に『迷える霊との対話』、『シルバーバーチの霊言』シリーズがあります。

 幻聴の苦痛から解放され、良好な心的状態に移行する為には、自らの心境を高めていくことが必要です。私は、幻聴を霊の声であると認識しているのですが、この霊については自らの心境に相応しい霊と感応するという仕組みがあり、その心境を高めることにより、それに相応しいだけ高いレベルの霊の感応が得られるということがわかっているのです。それは、一般的には認められていない事かもしれませんが、私は、実体験から、その事についての確信があります。結論として、霊とつながってしまうという状態(幻聴症状)になり、苦しめられているならば、それを克服しなければなりません。その為には、霊的な事柄について教えてくれる本をよく読み、理解して、心境を高くして行く必要があるのです。


 ところで、それでは、私たちは、霊的な問題にだけ気を付けていればよいのでしょうか。霊的な要素はとても重要なのですが、それが全てではないことも、また、明らかな様です。そして、その様な疑問が生じたに際、同書が、非常に役立つように感じられるのです。同書においては、健康を回復するために必要なプロセスとして、“自己治癒力を高める”、“代替医療に頼る”という、二つの方法が紹介されています。この事については、どちらかを選択するということではなく、自己治癒力が高まる様に努力をしながら、代替医療を上手に利用していく事が、望ましい選択なのではないでしょうか。それでは、代替医療について知りたい向きは同書を読んでいただく事とし、次に、自己治癒力を高めるために必要なプロセスについて見ていきます。

この病気にはこの方法を

 同書の「十八章 この病気にはこの方法を」においては、病気別の対応方法について記されています。幻聴症状に関係があるのは、その中の、「ストレス関連の病気」と「精神・感情・神経の障害」なのですが、その内容から、ストレス関連の病気には、呼吸法・心身相関療法・リラクセーション法が、そして、精神・感情・神経の障害には、こちらも、呼吸法・リラクセーション法・ハーブ療法などが、効果の期待できる治療法であることがわかります。

 リラクセーション法については、私の場合、池見酉次郎[著]『自彊術入門』という本を読む機会がありまして、自彊術という健康体操法を実践し続けて現在に至ります。この健康体操法は、戦前に普及していたそれなのですが、万病に効果が認められることがわかっているのだそうです。その内容については、全部で31の動作から構成されており、ゆっくり行っても30分位で全ての動作を終えることができます。これは、極めて合理的な動作により構成されているのだそうですが、私自身は、この体操法をした翌日は便通もよく、好ましい効果(特に肩と首のこり、ストレスへの効果)を実感しています。

治癒系を阻害する八つの要因


①エネルギー不足
 栄養失調や飢餓状態にある人は自発的治癒が起こりにくいし、誤った食生活・消化障害・浅い呼吸・オーバーワーク・過淫・休息と睡眠の不足・興奮剤の嗜癖的使用などを原因としてエネルギー不足が生じる。

②循環不全
 治癒系は血液の循環に依存している。代謝の異変によって循環不全になると、けがの部位への充分な酸素・栄養・免疫物質の供給ができなくなる。循環器系の順調な活動は、健康的な食生活・禁煙・運動によって、維持することができる。

③浅い呼吸
 浅い呼吸は、代謝を低下させて治癒系の効率を下げる。心臓血管系をはじめとする身体の全ての器官系は、酸素と二酸化炭素との適切な交換に依存している。呼吸は、恐らくそのすべてに影響するし、浅い呼吸は過去の身体的・感情的なトラウマ(外傷)に由来する。

④防衛障害
 からだの防衛力が弱ると、自然治癒が起こりにくい。防衛は免疫系の担当だが、免疫系を弱らせるものは、次の三つに分けられる。持続的または強力な感染、特定の物質やエネルギーによる害作用、不健康な精神状態。この三つは、その影響から身を守ることが可能であり、食生活、運動、ビタミンやミネラル類、ハーブ(生薬)類の賢明な使用によって、免疫力を高めることができる。

⑤有害物質
 有害エネルギーや有害物質も、生物学的制御を混乱させ、防衛力を弱らせて病気の進行をうながす。その為、有害物質による損傷から身を守る必要があるのであり、有害物質との接触を制限し、汚染から身を守り、体内に侵入した有害物質を排除するのを助ける必要がある。

⑥老化
 年をとると、免疫能が落ち、抵抗力も弱まって治りにくくなる。中国の伝統医学には、そのための強壮剤として作用する天然物質がたくさんあるが、どれも毒性がなく効果的だと思われる。

⑦心理的要因
 こころのなかのできごとが、自発的治癒の引き金を挽きもし、その阻害要因にもなりうる。免疫系を抑制し、自律神経系のバランスを狂わせ、消化や循環など、あらゆる内部のはたらきに障害をもたらしうる。それ故、こころを治癒に役立つような状態にする方法を知っておく必要がある。

⑧精神的・霊的な問題
 世界各地を旅していたとき、健康や病気の主要原因は、物質的・身体的なものではなく、精神的・霊的なものだと信じる、数多くのヒーラーに出会った。彼らは、みえない世界に注意を向け、その世界のなかに、病気になった理由と治し方を探す。本書においては、治癒の精神的・霊的な次元に関する若干の情報と、そのレベルで起こる現象への対処法にふれる。(以上、同204-214頁をまとめたもの


 人間は、本来的に、自己治癒力を持っているのにも関わらず、様々な要因により、現代人の治癒系は阻害されているのだそうです。著者は、その要因を上記の八つに分類し、その阻害要因に対してどのような対策を講じればいいのか、主に次の様な解決策を提案しています。

①食生活の改善
質の高い休息が妨げられる原因の解決
有害物質から身を守る
自然治癒力を高める薬の服用

⑤歩く
⑥呼吸方法を訓練する
⑦精神性・霊性を高める


おわりに

 私は同書を読み、実践的・重厚な内容であり、手元に置いておくだけの価値のある本である様に感じました。そして、これまでの私は、主に、霊的な側面を注視して、心的な状態の改善を目指して来たのですが、この本を知る事により、現代に生きている私たちは、それ以外の側面にも気を配る必要があるのだということがわかりました。精神性・霊性を高めていくことが大切であることは、議論の余地のないところですが、肉体を有して生活している限り、毎日呼吸をして、食事を摂り、水を飲み、睡眠をとらなくてはなりません。シルバーバーチ霊が語られているように、真の健康とは“精神と肉体と霊とが三位一体となって調和よく働いている状態”なのであり、肉体・精神性・霊性という、三つの要素は、いずれも、疎かにはできないということです。

 最後に、『癒す心、治す力』について、ご興味を持たれましたら、ぜひ読まれたらと思います。それでは、今回は以上の内容になります。